下肢静脈瘤の治療について

下肢静脈瘤の治療法について

下肢静脈瘤の治療当院では、より精度が高く、治療時間が短く、周囲の組織にダメージを与えにくい高周波(ラジオ波)アブソレーション治療を導入しています。
これは、平成26年に保険の適用となった新しい治療法で、術後疼痛や内出血が低減できることがメリットです。中程度まで直径の静脈瘤には特に効果的です。レーザーとならび静脈瘤の標準術式となりつつあります。当院では、患者さまの状態に合わせて、最適な治療をご提案しています。

当院で対応している治療

高周波(ラジオ波)アブソレーション治療

ラジオ波(高周波)は、肝臓癌、乳癌などの治療に以前から利用されており、皮膚科・形成外科手術などにも広く応用されているもので、電気メスなどと同じ原理を使っています。
当院で導入している高周波(ラジオ波)アブソレーション治療は、カテーテルを使い、レーザーの代わりにラジオ波(高周波)を用いて静脈壁を焼灼します。120℃の温度で静脈壁を焼灼して静脈壁のコラーゲン繊維を厚く熱変性させて繊維性閉塞を起こします。

手術方法

膝の内側かふくらはぎからカテーテル(細い管)を挿入し、伏在静脈本幹を焼灼します。
高周波治療を行うと血管の内側が炭化し、血液が通らなくなって具合の悪い血流がなくなります。

カテーテル先端が高周波を発し、直接静脈壁に面として作用するため、まだらになることなく、きれいに均一な焼灼が短時間で可能になっています。
この治療では、伏在静脈根元から適切な高周波を静脈壁に作用させることができます。また、炎症や痛み、内出血などの術後合併症もより少なくなっています。
なお、高周波とレーザーどちらの方法の手術も局所麻酔で行い、約20分の手術時間であり、術後1時間ほどお休みいただいてご帰宅となります。また、傷の大きさは2mm程度です。

下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤の治療

高周波(ラジオ波)アブソレーション治療の利点

高周波治療やレーザー治療の血管内焼灼術は、従来の血管を引き抜く手術に比べて、術中・術後の痛みや出血が少なく、麻酔も局所麻酔を使用するため、お身体への負担が軽いものとなっています。そのため、入院することなく日帰りで治療ができるようになりました。
また、切開を行わず、穿刺法(せんしほう)という針を刺して、そこからカテーテルを挿入するという方法をとっているため、術後の傷痕もほとんど目立つことはありません。
血管内焼灼術はもともと自費診療でしたが、2011年に初めて厚生労働省より保険認可を受け、当院で使用している高周波治療器も2014年より保険診療として行えるようになりました。

血管内焼灼術の特徴

ターゲットの範囲がとても狭いため、周囲の組織に与えるダメージを与えずに静脈壁だけを焼灼可能です。また、焼灼温度を一定に保つことができるためより均一に焼灼でき、面として焼灼するため所要時間も短縮できます。
術後の内出血や痛み、足の腫れなどの合併症が少ないため、すでにアメリカでは下肢静脈瘤のカテーテル手術の約半数はこの高周波(ラジオ波)手術になっています。

レーザー手術との違い

レーザー手術の場合、レーザーの特性からある程度指向性をもってレーザー光線が照射されます。そのため、静脈壁の焼灼にはばらつきが出てしまう可能性があります。高周波(ラジオ波)は、その特性とカテーテルの形状などから、むらなく静脈壁を焼灼できます。静脈径の制限もありません。(メーカー推奨 18mm)

硬化療法

患部の血管に薬剤(硬化剤)を注入して閉塞させる治療法で、直径3mm以下の細い静脈瘤に適しています。傷跡が残りにくく、お体への負担が少ないといったメリットがあります。ただし、色素沈着などの合併症を起こす可能性があり、再発率が比較的高いというデメリットがあります。
クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤、側枝静脈瘤などに行い、施術時間は10分程度で簡単にうけることが可能です。数回の通院が必要な場合があります。

治療法

硬化療法硬化剤を患部の血管に注入し、皮膚の上から圧迫して血管を閉塞させる治療法です。血液は別の静脈によって運ばれますので、血流障害は起こりません。閉塞した血管はやがて体組織に吸収されます
大きい静脈瘤の場合、この治療法に手術を組み合わせて、より効果的な治療も可能です。

ストリッピング手術

ストリッピング手術は、弁の壊れた静脈を引き抜く手術であり、100年も前から行われています。現在も日本では伏在型静脈瘤の治療として最も多く行われています。再発率が低く、実績がある根治手術と言えます。

治療法

ストリッピング手術鼠径部と下腿部の2ヶ所を切開してワイヤーを挿入し、弁が壊れた大伏在静脈内に通してそのワイヤーごと血管を引き抜きます。必要に応じて静脈瘤の切除も行いこともあり、その場合はふくらはぎ部分に数ヶ所の切開が必要です。

治療費用

下肢静脈瘤の治療は保険診療です。

治療法 1割負担 3割負担
ストリッピング手術 約13,000円 約40,000円
硬化療法 約2,500円 約6,000円
高周波治療 約15,000円 約50,000円